プロローグ

GM
拝啓、アリス。
GM
愛しいアリス。
GM
きみが目を醒ましてから100年の月日が流れました。
GM
ぶっちゃけ、この国はもうだめです。
GM
兎は落下し、猫は干乾び、帽子は裂け、女王は壊れ、
GM
大いなる暴力と死が、堕落した国に降り注ぎます。
GM
残ったのは53枚のトランプのみ。
GM
猟奇と才覚、愛によって救われるこの世界で
GM
僕らは今も、新たなアリスを待ちわびています。
GM
Dead or Alice
「"Be what you would seem to be"」
GM
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GM
そんな堕落の国の中。あなたたちは街を歩いています。
あのこ
「ねぇ、アビゲイルさん。"次"はいつにされますか?」
アビゲイル
「そうね、そろそろ誰かを”可愛く”したいわよね」
あのこ
「可愛く、は相変わらずわかりませんけれどそうですね。
わたしたちは早く帰らないといけませんもの」
GM
そう言葉を交わすあなたたちに、ある人物が話しかけてくる。
ルーティ
「そこのお二方。少々よろしいかしら」
ルーティ
「貴方達、救世主ですね?ひとつ、依頼したいことがあるのです。」
あのこ
チラリとアビゲイルを見る
アビゲイル
「はい、お話を聞かせていただけますか?」
ルーティ
「話が早くて助かります。今回は……」
そういいながら、女__ルーティと名乗る公爵夫人の末裔は、依頼について話し始めた。
GM
最初のアリスとともに生まれた者達、始祖。
始祖ゆかりの品には、この国の成り立ちに深く関わった歴史的な価値があるものの他、不思議な力を宿したアーティファクトも多く存在する。
GM
その中でも特別な意味を持つ物は”聖遺物”と呼ばれ、
一部組織(特に公爵家)は地位や多額の金銭を約束し、それらを回収していると言われています。
GM
その一環で、先日『公爵邸』に忍び込んだ救世主一味が壊滅。
しかし、その救世主についていた末裔が1人、仲間を犠牲に脱出。手紙を持って『森』の中を逃げているとのこと。
ルーティ
「……貴方たちに頼みたい任務はひとつ。その手紙を、私の元にもってきていただきたいのです」
ルーティ
更に彼女は付け加える。
ルーティ
手紙を取りに忍び込んだ救世主一味は、以前から公爵家とそりが合わず、そのまま持たせておくのは危険であること。
ルーティ
壊滅し、消耗しているその人物から手紙を奪うのはそう難しくないだろう、ということ。
ルーティ
手紙の内容は不明。多くの場合は取るに足りない内容だが、それでも歴史的価値はあるので持ち帰ること。
ルーティ
「無論、報酬は弾みます。これは公爵家にとって、非常に重要なことですから。」
アビゲイル
「一つだけよろしいですか?」
ルーティ
「ええ、なんでしょう」
アビゲイル
「手紙を持っていた人物の生死は問いませんか?」
ルーティ
「……はい。手紙さえ無事であれば、如何様にしていただいても構いません」少し眉を顰めるものの、承諾します
アビゲイル
「ええ、ええ!それでしたら問題ありません!あなたもそうでしょう?」(”あのこ”に)
あのこ
「…えぇ。非常に助かります。」
あのこ
「聖遺物というのも、とっても気になります。」
あのこ
「元の世界に帰るためのものがあるかもしれませんしね」
ルーティ
「感謝いたします。……ああ、それから」
ルーティ
「『ヨハン』という男にはお気をつけてください。彼は――」





GM
一方その頃。別の街には、
GM
また別の救世主二人がおりました。
死体山出 埋尾
「いやあ、本当に治安の悪い街ですねえ」
死体山出 埋尾
燃え盛る酒屋を眺めながら
死体山出 埋尾
「見てください、命が無為に失われています。こんな悲しいことはありませんよ」
死体山出 埋尾
「もったいない…」
五条 五花
「ええ、ええ、全くその通りです。
それもこれもこの国の、いえこの世界の風紀が乱れに乱れているから。
やはり一刻も早く正さないと」
死体山出 埋尾
「本当にその通りですよ。命を軽んじすぎてます」
五条 五花
「もはや一朝一夕でどうにか出来るものではありませんが、できることから一歩ずつやっていきましょう」
五条 五花
「まずは目の前のこの火事ですが……近くに水場、ありませんね」
GM
「なあ、君たち、ちょっといいか?」
ヨハン
「救世主だろう?ひとつ、人助けをしてくれないか。もちろん、報酬は払うよ」
一人の男があなたたちに声をかけてきます。
五条 五花
「人助けですか! もちろん、お手伝いさせていただきますよ! ね、埋尾さん!」
死体山出 埋尾
「ええ、勿論ですよ。私、以前の世界では神の名の下に孤児院を運営しておりました。
信用して頂けるとよいのですが」
ヨハン
「本当か、それは頼もしい!さすがは救世主様だな。」
ヨハン
「それでなんだが……」そういうと、男は詳細を話し始める。
ヨハン
この世界には、始祖に由来する品、アーティファクトがあること。
その中でも特別な聖遺物を、公爵家は多額の報酬を支払って集めていること。
聖遺物の一つである手紙を持った末裔が、『森』の中を逃げていること。
ヨハン
そして、ルーティという公爵家の末裔がそれを探していること。
ヨハン
「ルーティも私と同じ公爵家の末裔だが……彼女たちは少し思想がよろしくない。あちらに手紙が渡ることは”問題”なのだ」
ヨハン
「ということで。私の元まで手紙をもってきてくれないかな」
死体山出 埋尾
「ええ、ええ、構いませんよ。ところで、その思想がよろしくない、というのは……」
五条 五花
「なるほど……理解しました。大切なものを悪人に渡すわけにはいかない。わかります。協力しましょう」
ヨハン
「ああ、ありがとう!助かるよ」五花へそう微笑みかけます。
「……彼らは自分本位でね。聖遺物の為に、救世主を使い捨てたりしている」埋尾にはそう説明します。
死体山出 埋尾
「使い捨て!それはよろしくありませんね。まったく、この世界の命への軽視はひどいものです」
死体山出 埋尾
「そして、報酬というのは?」
五条 五花
「それはいけません。人のことを考えないのは風紀的に悪!許せませんね」
ヨハン
「はは、そうだよな。報酬については……」十分な金銭を提示されます。
死体山出 埋尾
「ああ、それは大変助かります。我々も日々の糧が必要ですから」
五条 五花
「風紀を為すだけでそれほどのお気持ちを頂くのは本来心苦しいのですが、埋尾さんの言うとおり私達も生活に余裕があるわけではないので……ありがたくいただくことにします」
ヨハン
「……君は本当にいい子だな。それじゃあ頼んだよ」







GM
森の中、血を流しながら必死に逃げる魚顔の人物――”配達人”の末裔。
GM
その手には一通の手紙が握られている。
GM
「っは、はあ、ふっ……」息を切らし、ふと立ち止まる末裔。彼の目の前に現れたのは――
死体山出 埋尾
「おやこんにちは。貴方が配達人さんですかね」
死体山出 埋尾
「…(じっと相手の体を眺める)」
死体山出 埋尾
「……ちょっと歳をとりすぎですかね、もったいないな」
五条 五花
「見つけましたよ! あなたが悪に加担する悪ですね。大人しくその手紙を渡しなさい、さすれば悪いようにはしません。改心を認めましょう」
GM
奇妙な服装。奇怪な武器。救世主が、二人。
GM
この男とて、末裔が救世主に逆らうことが何を意味するか、知らぬわけではない。
GM
そして、その事実を認識した瞬間——
GM
「あ、ぁ……」
GM
聖遺物というわずかな希望だけで保たれていた彼の命は、尽きてしまいました。
五条 五花
「……ぇ、え?」
死体山出 埋尾
「あれ……?」
五条 五花
「死ん、え……? う、埋尾さん?」
死体山出 埋尾
「亡くなってしまったようですね、…こうなればしょうがありません。手紙をお持ちか確認させて頂きましょう」
五条 五花
「えっ、あ、はっはい。そうですね……?」
GM
そうして、埋尾が男の手から手紙を取り上げたそのとき。
GM
木の枝を踏む音。気配が、二人分。
あのこ
「……あれではないですか?」
アビゲイル
「そうね、って…あら?」
あのこ
「先客みたいですね」
あのこ
「すみません。わたし達はそのお手紙に用があるのですが、それをいただけませんか?」
死体山出 埋尾
「やあ、それは困りましたね。私たちもこの手紙に用事があるのですよ」
あのこ
「あら」
アビゲイル
「困りましたね…」
死体山出 埋尾
「(うーん、二つの命で二つの命か…ちょっと勿体無いですね…)」
五条 五花
「どちら様でしょうか。これは私達が任された大切な仕事。訳も分からず渡すわけにはいきません」
アビゲイル
「うーん…」
アビゲイル
「(”あのこ”に対して)交渉はできないみたい。どうせだし、可愛くしてしまいましょう!」
あのこ
「……そうですね。わたしはほんとうはもう少し安全に(救世主殺しを)したいのですが……」
五条 五花
「か、可愛く? すみません、お気持ちはありがたいのですがあまり華美な服装は風紀的に少し……」
死体山出 埋尾
「五条さん、困りましたけれど…まだおふたりのうち1人は幼い少女です」
死体山出 埋尾
「ここで(命を)譲っていただければ採算は合いそうですね、助かりました」
あのこ
「……あぁ。そうだ。そちらの方はどなたから”大切な仕事”をいただいたんですか?」
あのこ
「もしかしたら同じ方からの仕事で穏便にすむかもしれませんよ」
五条 五花
「はい、私達はヨハンという方から(ペラペラと全て喋る)」
あのこ
「あぁ……」
アビゲイル
「……」
死体山出 埋尾
「ダメそうですね、やはり」
アビゲイル
「まあまあまあ、それはそれは!」
アビゲイル
「……”侯爵夫人”の使いの者です、と言えばわかっていただけるでしょうか?」
あのこ
「しかも、お互いに救世主。でしょう?」
あのこ
「はやく元の世界に帰りたい。その想いは互いにあるはずです」
五条 五花
「公爵夫人、というと……(思い出そうとしている)……あっ! まさか悪の手先!?」
死体山出 埋尾
「よくありませんよ、対面の方にそのような呼びかけは。対立するとしても相手に対する敬意を払うべきです」
五条 五花
「そ、それもそうですね……申し訳ありません、敵とはいえ風紀的に礼を欠いた行いをしてしまいました。風紀ポイント、マイナスです」
GM
もはやお互いの対決は避けられない。
そう悟ったあなたたちは、”お茶会”を始めるのでした。